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火は風に煽られ、樹海を火の海へと変えた。
炎は一日中燃え続けて、多くの森とエルフを焼いて鎮火した。
この暴挙に、森に住む種族達は激怒した。翼人、ドワーフ、ゴブリン、ワーウルウが正式に参戦を表明。
これにより、エルフを盟主とする他の種族の連合と人間という図式が成立した。エルフの言うところの種族間戦争、人間の言うところの亜人戦争の始まりであった。
戦いはほぼ互角であったが常にエルフの連合軍が押し気味だった。
アムルタはクレタ国やラムルウ国に援軍を求め、その戦費を捻出するために領土を切り売りした。
それまでクレタは、北方のたいして大きくも無い国だったのだが、戦争の特需で国力を付けていった。ラムルウも同じで、兵を出す代わりにアムルタの領土を少しずつ割譲してもらい、現在の大きさになっていった。
一方アムルタは、領地を売ることで戦費をまかなったため、当然国は小さくなっていった。そのため、どうしてもエルフの森を手に入れなければ国力が低下してしまう。エルフを倒せば広大な土地と豊富な森林資源を確保できるわけだが、途中で止めれば領地だけ失うことになる。
勝つまでは止められない。引くに引けなくない状況。
戦争は泥沼化していった。
一進一退の戦局は終盤、オークの登場によって動き出す。アムルタ軍はオークの勢いを止めることができなかった。アムルタ軍は敗走を重ね、ついには王都の喉元、アムルタニアを失ってしまう。
ここに来て、和平の話が持ち上がった。もちろん、和平の話は前々からあったのだが、戦争を続けたい勢力がエルフにも人間にもいた。
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