1人が本棚に入れています
本棚に追加
エルフスタンは早くから、戦争の早期和平を唱えていた。しかし、エルフスタンの余りに人間に対して甘い対応は、他のエルフの反感をかい、戦争を始めた責任として幽閉されてしまった。
一方、人間側の陣営は、クレタとラムルウが戦争を望んでいた。アムルタを矢面に立たせ、兵を出して見返りに領土を得るうまみを知ってしまったからだった。
アムルタが和平の案を示すと、クレタとラムルウは「ならば兵士の給金を今すぐ支払え」と迫った。支払えないアムルタは戦争を続けるより道がなかった。
こうして戦争は長期化していったのである。
───が、
アムルタニア陥落を受け、和平の案が急速に浮上する事になる。
アムルタを正面に立て、やる気の無い兵を送って甘い汁を吸っていたクレタ、ラムルウの両国は、アムルタ王都が落ちた時、次は自分達の番だと言うことに気付く。
オークの進撃を止める術は今のところ無い。
アムルタを死守するため、クレタとラムルウは精鋭部隊をおくりこんだ。その上で和平交渉を進めるつもりでいた。
しかし、意外なことに和平を申し入れてきたのはエルフの方だった。
エルフ内部のいざこざで、オークが戦列を離れてしばらく経っての事だった。
この申し出に人間側も飛び付き、エルフ優勢にもかかわらず、大幅にエルフが譲歩する形での和平締結となった。
これにより、エルフは アトラス山脈の裾野に広がる森を人間に差し出し、自らは大陸の南へ移動することとなった。それに伴い、アトラス山脈を含む南はエルフ達の土地、北は人間の土地と定められた。 そして、この約束を破れば、互いに死による制裁を加えても罪にはならないこととなった。
最初のコメントを投稿しよう!