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◆
まるで試すように
動いていた舌が
ゆっくりと引き抜かれる。
「……うわの空だね」
ルージュが落ちて
濡れた私の唇を
親指で拭いながら
温人さんが
わずかに首を傾げる。
セットが乱れ
落ちる黒髪を
怜悧な瞳を飾る
長いまつ毛を
私はただ
ぼんやりと見上げた。
「今日はもう
やめておこうか」
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