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唇が、
左の耳に触れる。
そっと
うぶ毛を撫でるように。
「本当に
俺に出来ることはないかい」
優しい声音に
背筋が震える。
思わず、
言ってしまいそうになった。
絶対に
言うものかと決めていたセリフを。
抱いて、と。
最後まで、昔のように。
再び私を
呑みこもうとする
覚めない悪夢から
私を救ってほしい、と。
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