ユウルを探して

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 足音を立てないように、カーラさんと二人から離れていく。カーラさんのことだ。ぱっと避けまわってくれるだろう。そのうちに。  少し離れたところから、地面を蹴った。気がつかれたが、この位置からなら首の後ろを狙える。  手渡された、ロングソードのような形の木刀の持ち手側で急所に力いっぱいぶつける。案の定、気を失ったみたいで、男はそのまま倒れた。  さてもう一人。目の前には機敏性に優れたカーラさん。おれのとろい動きで一人倒せたのだから、なんとかなるだろう。  挟まれた男は、まずおれをつぶそうと思ったらしい。おれに向かって大きな剣を振るおうとした。だが、そのことが間違いだったらしい。  カーラさんのひざが体をひねろうとしている男の鳩尾に入った。男がよろめく。その瞬間を狙って、首をはね飛ばすイメージで剣を振った。  もちろん寸前のところで止めたが、これが本物の刃であったらきっと首を飛ばしていただろう。 「どうする? 降参する?」  男の後ろから、にやりと笑ってそう言い放ったカーラさん。どう見てもただの悪役だ。 「誰がするか!」 「もし、これが普通の剣だったら首飛んでますよね? ここのルールだと、それって負けにならないんですか?」 「…………」  男は武器を捨てて両手を挙げる。歓声が上がった。 「三番人気が一回戦で脱落したああああ。今回はいつも以上に波乱が予想されるぞ!」  この人たち三番人気だったのか。普段、学校で鍛錬していた相手と比べるとあまり強くなかった気がする。カーラさんがいたからそう感じたのかもしれないが。 ※  順当に勝ち上がっていく。どちらかが倒れることもなく、相手の急所を狙っては決めて降参させたり、時には二人とも気絶させたり。  士官学校で必死に勉強や鍛錬をつんできたおかげか、おれみたいなのろまでも、若干の物足りなさを感じる。カーラさんが強い、ということもあるが。 「りっくん。行くよ。さて、優勝して賞金がたんまりもらえるか、準優勝になっちゃってちょっとしかもらえないかは、この試合にかかってるからね」
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