ユウルを探して

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 近寄って、剣を振り下ろす。相手の木刀のじゃっかん濡れているところを狙った。……はずだったのに、目の前には剣がない。そのまま衝撃波になった雷も遠くへ飛んでいった。  気がついた時には遅かった。相手から距離を取られている。嫌な空気が流れる。ちらりとカーラさんを見たら、腹を押さえていた。  まずい。  走る。このままでは、やられてしまう。  いや、まてよ。仮にローブを着た人が死神だとしたらだ。水を操る力だ。相性がいい。それなら。カーラさんのそばに寄る。 「りっくん!」 「カーラさん。防護膜を!」 「指示されなくても、もう、ね! あの男の子、きっと私達と一緒だって読んだんでしょ?」  お見通しか。まあ、カーラさんだ。読まれてもおかしくないが。  何もないところから水が出てくる。大きな波だ。気がついたら飲まれていた。強い衝撃。防護膜がなければ気を失っていただろう。  若干、水の流れが変わった気がした。今だ。手がしびれると同時に、黄色い光が水の中へと広がってばちばちと音が鳴る。  ふいに水が消えた。  そして終わりを知らせる音がカーンと高らかに鳴った。 ※ 「はあ。死ぬかと思ったあ」 「本当、息苦しかったですね」  びしょびしょに濡れた体で、おれとカーラさんは医務室に向かっていた。さすがに感電させた相手には謝ろうと思ったからだ。  目が覚めたという男の人とローブの人。ベッドで寝ていた黒髪の人は、おれたちを見て身を起こし、ローブの人はどうやら男の子だったらしい。彼の足もとあたりで座っている。 「あ、優勝おめでとうございます」 「あ、いや、その。すいません。あの魔法。結構痛かったですよね」 「いいんです。ぼくが魔法を使ったから、あなたたちが反応したんでしょう」 「…………おまえ」 「え」  ローブを着た少年がそういってじっと見る。痛かったのだろうか。それとも、おれの顔に何かついているのだろうか。まさか、おれが張り紙の人物だと……いや、あんなに似ていない人相書きでは分かる訳がないか。
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