ユウルを探して

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 しばらく歩くと、目の前にはさっきの二人がいた。近くの小さな店入って別々の席に座る。穏やかな雰囲気の店だ。小奇麗で若干暗めなところがいい。  注文を済ませて、ちらりとエリサたちを見る。エリサが嬉々と話している。ああいう顔、初めて見た気がする。 「あの! その。まず、リクハルド、さんですよね? あなたのお父さんの名前はアーロンさんで」 「え」  まずい。いや、捕まえたいのであったらすぐさま国軍の駐屯所に駆け込んでいるだろう。じゃあ、何が言いたい。 「ああ。そうでしたね。すいません。あの、ぼく会ってみたいなって思っていたんです。ずっと昔に遊んでくれたのを覚えてて」  ずっと昔に遊んだ?  だめだ。父さんたちが生きていたころの記憶がほとんどないからか。全く出てこない。 「驚いています。リク兄ともう会えないと思って。さすがにもう、期限付きでしたから」 「そうですか。でも、おれ、全く思い出せなくて」 「そうなんですか。……あの、アーロンおじさんとリアおばさん、元気ですか?」 「いや。もう何年も前に……」 「…………え。いつなんでどうして」  そう慌ててドンって机叩かれても。ええと。あれ。いつ、だっけ。四歳か五歳頃は生きていた。その後は、気がついたらノルンの学校で勉強することにのめり込んでいた。何歳だ。九歳ぐらいか。 「あ、ごめんなさい……」 「いいよ。ラウ」  ぽろっと出てきたラウという呼び名。それを聞いてか、ぱあ、とラウの顔が明るくなる。 「思い出してくれたんですね」  ああ、そうだった。父さんの同僚の息子だ。父さんもラウの父親も軍人で、ルタの町で家族と暮らしていた。あれ、そのラウだったら。 「いいのか。コロッセウムなんかで戦ったりこんなにたくさん食べたりして……!」 「もう。いいんです。何したって。願い事を叶える日までは」 「あ」  ラウは病気だった。幼い頃から走ることもできない、食べ物も決まったものしか食べられない。酷い時は外にも出られなかった。でも、そうか。おれと同じでラウはもう。 「そっか」 「心配させてごめんなさい」 「いや。いいよ。そういえば、よくおれだってわかったな。髪の毛も瞳の色も違うのに」
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