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今回の範囲は、コーク王国の成り立ち関連だから四十年から三十年前の話だったと思う。
当時、トトモ王国と言われた王国でユノーレの乱が起きた。この乱によって、少数民族であるルエ族の王をたおして、ホチ族主体のコーク王国ができた。
どうやら、トトモ王国が滅ぶ直前は、政治が乱れ、当時の首都ハールにおいては、ホチ族に対する大虐殺事件が起きたらしい。
どこまでが本当かは知らないが、教官も姉さんもそう言っていたから、きっとそうなのだろう。
「リクハルド」
「はい」
立ち上がって答案を受け取りに行くと、耳元でおめでとう、と言われた。どういうことだと思って答案を見ると、名前の横には百点と書かれて、小さなはなまるがついていた。
まあ、姉さんがくれた知識の賜物言ったところだろうか。他教科に比べて満点が難しいものだから、少しだけ嬉しい。
「はーい。返し終わったね。今回はいつもよりできは良かったけど、まだ理解が足りない人が多かった。だから、きちんとテスト直しをして提出すること。満点の人は別途課題だすから、放課後教官室へ来るように」
では、授業に入っていきます。そう言ってはりきって王国の仕組みについて話しだす。今回も大変になりそうだな。
「おい、リク」
隣に座っているのはリュート。武家として有名なリヴィエ家の跡継ぎだが、なぜか親しい。
「別途課題ってお前用だろ」
「そうだよ。他にもいると思うけど」
「いや、さっきぱらぱらって頭いい奴の答案見たけど、満点いなかったぞ?」
「お前、人の答案見るなよ。見つかったら面倒そうな奴、多いだろう?」
「まあ、見つからなければいいことだろう?」
「リュート! リクハルド! 集中しなさい! 大切なところなのよ!」
怒鳴るリーザ教官。人を馬鹿にしたような笑い声をあげる周りの学生。話していた自分も悪い。けれど、この空気は本当に耐えがたい。
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