第8話

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手中からスマホが抜け落ち、 足元にゴトン、と鈍い音。 空いたその手を何とか動かし、 勅使河原さんの肩を掴んで押した。 だけど、 私の後頭部にあった勅使河原さんの手が離れ、 手首を捕えられて。 結果的に両方の手首を彼に束縛され、 そのまま窓におしつけられ、 更に濃厚なキスを強要された。 顔を左右に動かしうごめいても しつこく追い回され、 髪の毛とガラスがこすれあう気障りな音が耳につく。 もがくだけで、 これ以上の抵抗ができない。 勅使河原さんは 私が抗えないのをいいことに、 楽しげに、 一方的に、口内を掻き回してくる。
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