集団無私

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 担任の先生が、  記念に皆で写真を撮るぞと言いました。  クラスメイトは皆、用意された席に腰を掛けたり、後ろに並んだりしました。  ですが、  僕の席だけが用意されていませんでした。  痺れをきらした僕は、先生にどうしてこんな事をするんですかと問い質しますが、 矢っ張り僕の言葉など余所に無視を続け、カメラの撮影の準備を初めます。 もう、いいや。 割って入って勝手に入っちゃえと席の隅っこに移動して、カメラの方を向き、ニッコリ笑います。  パシャッと音がしてカメラはシャッターを切り、 ポロライドの写真が出て来ます。  クラスメイトは出来上がった写真に群がり、僕を差し置いてわいわいきゃあきゃあと騒ぎ立てますが、 唐突に悲鳴をあげて写真を投げ出します。  「ちょっと何これ、心霊写真だよ、心霊写真、うちの教室にいるなんて信じらんない」  心霊写真?  其れは僕も怖いです、何か良くない事でも起こるかもしれないと思うと、ゾッとします。  所が写真を見ると、幽霊など何処にも写ってないのですが……。  僕だけがクラスメイトより随分ぼやけて写ってるのは気になりますが――。  『集団無私』―了―
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