第9章

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翔吾さんと付き合い始めて2ヶ月が経った頃。 季節は秋に変わり、暑さは日に日に遠ざかって行った。 「今日はまた少し気温下がりましたね…」 「そうだな…風が冷たい」 大通りを翔吾さんと歩きながら空を見上げると、鉛色の空が広がっていた。 久しぶりに休日がかぶったから2人でデートだったのに。 「あっ!あそこですね!」 細く高いビルが目に入り、そのビルに翔吾さんと入って行く。 甘い香りが鼻を擽り、口元が自然とにやける。 チラシで見たケーキ屋さんだ。 美味しそうだと言ったら、翔吾さんが連れて来てくれた。 「ご注文はお決まりですか?」 愛想のいい店員さんに声をかけられ、翔吾さんとケーキを眺める。 ショートケーキ、チーズケーキ、モンブラン、タルト、ミルフィーユ、ミニクレープ、プリン、チョコレートケーキ… 輝かしいケーキ達が俺を見つめてる。 「チョコ…んー、いや……モンブラ……んー、でもっ」 チョコレートケーキとモンブランで迷う。 究極の選択だ。 「チョコレートケーキとモンブランください」 不意に翔吾さんの声が聞こえる。 「その2つで悩んでいるんだろう?」 声に出ていたぞと笑われる。 心の声が漏れていたらしい。 出されたケーキ2つを持って、店内の白いテーブルに座る。
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