第9章

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窓の外に知り合いとかいたらどうしよう…。 そんな事を思いながら大通りからしばらく歩いて、小さな公園に入る。 いくら付き合ってるからって… 「千里君」 「…はい?」 ワントーン下がった声音から、何か大事な事を言おうとしているのが感じ取れた。 「千里君は、男と付き合うという事が、重荷であったりするか?」 「え…」 「俺と付き合っている事を、他人に知られるのは嫌か?」 「…どうして、ですか?」 嫌なはずない。 どうせだったら言いふらしてやりたいくらいだ。 でも… 「俺は…"俺"が嫌だ!こんな、"俺"が嫌なんです!翔吾さんが嫌だなんて微塵も思わない!」 「…せ、んり…君?」 「いつだって…自分に自信がなかった。翔吾さんみたいな人の隣に俺がいていいのか。そのくせ、一之瀬さんや会った事もない翔吾さんの同僚や上司に嫉妬して…っ」 そうだ。 あの時、窓の外を気にしたのも、翔吾さんの相手が"俺"だったからだ。 ばれたくないのも、俺のせいで翔吾さんのレベルが落ちるのが恐いからだ。 そのせいで、俺が…翔吾さんが俺から、離れられるのが恐いからだ。 「いつだって…俺は、俺の事ばかり…」 何で俺…こんなになったんだろ。
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