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大通りの桜も、葉桜になり、あったかくなった頃。
永田さんはすっかりオープンカフェの常連になっていた。
俺がバイトの時はほぼ毎日来てくれている。
会社が近くにあるみたいで、昼休憩とかに、よくランチセットとコーヒーを飲んでいる。
「あ、いらっしゃいませ!永田さんっ」
12時20分。
これが永田さんが店に来る時間だ。
俺はいつの間にかこの時間がずいぶんと楽しみになっていた。
「「ブラックコーヒーとランチセット」」
俺の声と永田さんの声が重なる。
驚いたように目を見開くと、パチパチと瞬きを繰り返した。
永田さんの表情がこんなにハッキリ動いたのは初めてだ。
可愛いなぁ、とクスッと心の中で笑う。
「永田さん最近毎日来てくれてるし、いつも同じやつ頼むんですもん。覚えちゃいました」
「そ、うか…。ここのコーヒーとランチセットはスゴく美味しいから、クセになったのかな」
照れたように笑うと、俺の口も自然にゆるんだ。
あぁ、この人もこんな風に照れるのか…。
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