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ほのかに香る柑橘系の石鹸。
フカフカとした地面と、冷たい額。
気持ちいい。
薄っすらと瞳を開くと、知らない天井が目に入った。
どこだ?ここは…。
「…あ、起きたか?」
男性の声がほぼ真上から聞こえる。
聞いた事のない声だ。
誰だろう?
「体調はどうだ?どこか痛いとことかあるか?」
体調?痛い?
「…ふぇ?」
回らない頭を頑張って使った結果、俺の口からは素っ頓狂な声が出た。
「まだ寝ぼけてるのか?」
さらりと前髪が額を流れる。
細くて冷たい指で撫でてもらうと、不思議な安心感が湧いてきた。
「…ん……だい、じょぶ…」
「もう少し寝るといい。軽い貧血のようだと医者も言っていた」
低くて優しさを含む声。
ひやっとした指で瞼を閉じられると、意識は急速に遠退いた。
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