277人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
永田さんが冷蔵庫からミネラルウォーターを出して、キャップを外してから渡してくれる。
そういえば喉も渇いたし腹も空っぽだ。
「…ありがとうございます」
くぴっと飲むと、冷たくて美味しかった。
水をうまいと感じたのは初めてだ。
「あの…俺あんまりお金持ってないんですけど…。お礼、させてください!倒れてたとはいえお世話になったんで…」
キュルルルルゥゥー…
お世話になったんですし。
そう言いかけた瞬間、俺の腹の虫は盛大に大合唱した。
「すすすすすみませんっ!!」
「腹が減ったか…。コンビニかファミレスくらいしかもう開いていないが、食いに行くか?」
そういえば今何時だ?
部屋を見渡して壁時計に視線をやると、3時と針がさしていた。
カーテンから漏れる明かりがない事から、深夜3時だろう。
なんて迷惑な時間に目が覚めたんだろう…。
「いえ、これ以上ご迷惑かけるわけには…」
「別に構わないさ。それに俺も腹が減ったしな。1人暮らしで晩飯を誰かと食べる事が少ないんだ。付き合ってくれ」
少しだけ笑う永田さん。
こんなに優しさが滲み出る笑顔ってあるんだな…。
気づいたら俺は、はい、と返事をしてしまっていた。
最初のコメントを投稿しよう!