第1章

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永田さんが冷蔵庫からミネラルウォーターを出して、キャップを外してから渡してくれる。 そういえば喉も渇いたし腹も空っぽだ。 「…ありがとうございます」 くぴっと飲むと、冷たくて美味しかった。 水をうまいと感じたのは初めてだ。 「あの…俺あんまりお金持ってないんですけど…。お礼、させてください!倒れてたとはいえお世話になったんで…」 キュルルルルゥゥー… お世話になったんですし。 そう言いかけた瞬間、俺の腹の虫は盛大に大合唱した。 「すすすすすみませんっ!!」 「腹が減ったか…。コンビニかファミレスくらいしかもう開いていないが、食いに行くか?」 そういえば今何時だ? 部屋を見渡して壁時計に視線をやると、3時と針がさしていた。 カーテンから漏れる明かりがない事から、深夜3時だろう。 なんて迷惑な時間に目が覚めたんだろう…。 「いえ、これ以上ご迷惑かけるわけには…」 「別に構わないさ。それに俺も腹が減ったしな。1人暮らしで晩飯を誰かと食べる事が少ないんだ。付き合ってくれ」 少しだけ笑う永田さん。 こんなに優しさが滲み出る笑顔ってあるんだな…。 気づいたら俺は、はい、と返事をしてしまっていた。
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