278人が本棚に入れています
本棚に追加
永田さんが少し目を細める。
表情の動きは少ないけど、永田さんはよく笑う。
「えへへっ!美味いです!」
「それは良かった」
天気予報が流れるテレビを見ながら、他愛のない話をした後、2時間ほど永田さんの買い物に付き合って、駅まで送ってもらって帰った。
「また来るといい」
帰り際、優しい声でそう言ってくれたのが嬉しかった。
家につくと、当たり前だけど柑橘系の香りはしなくて、連絡先を交換しておけば良かったかな、なんて思った。
「あ、名刺…」
ズボンのポッケから永田さんの名刺を取り出すと、会社名と電話番号が書いてあった。
良かった。
また来ていいと言われた。
嘘かもしれない。社交辞令だとはわかってる。
けど、受け入れられた気がして、どうしようもなく嬉しかった。
「…会いたい、な」
バイトの休みは今日までだ。
明日からまた大学とバイトと勉強が待っている。
また暇な時にでも会えたらいい。
そう思って、課題に手をつけた。
最初のコメントを投稿しよう!