20人が本棚に入れています
本棚に追加
達樹がグラウンドへ戻った後、そのまま廊下に立ち尽くしていた。
窓に目を向けるとグラウンドに涼の姿が見えた。
サッカーボールを追って、元気に走り回っている。
いつもの風景だった。
涼の少し前屈みになって走る癖。
華奢な身体のわりに筋肉質で、がっちりした両脚。
失敗すると、天を仰いだり、大げさに頭を両手で覆ったりする仕草。
どんなに遠くても、涼の姿なら直ぐに分かる。
あんまり近すぎて、ここまで涼のことをここまで思っていた自分に今ごろ気
付いた。
涼も遠くからでもわたしの姿が分かるのだろう。
お互い、それほど相手を思い合っていた。
この上ない幸せだと思った。
あのマネージャーはわたしたちと同じような気持ちで、いつも青木クンを見ていたんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!