第1章

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まだ、誰も登校していない、静まり返った廊下に頬を打ちつけたまましばらく寝転んでいた。 廊下の端に埃が見えた。 高校生になると、みんな掃除を真面目にしないので、大人数が行き交うこの廊下はいつも埃が舞っている。 そんな状態の場所に、寝そべったままだった。あの子は野球部のマネージャーだろうか? あの子に怒鳴り付けられたショックで、身体動かなかった。 窓の外からは、野球部員かサッカー部員のかけ声が微かに聞こえた。 昨日、擦り剥いた膝が痛む。膝の痛みを庇いながら、ゆっくり起き上がると 「沙都?」 視線の先には、黄色と青のストライプのサッカースパイク。
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