第1章

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「言ってない……青木クンに断ろうとした矢先だったの。でも……涼には嘘付いた。ちゃんと断ったって直ぐにばれる嘘付いた」 「ハァー」 達樹が大きくため息を付いてわたしの肩を二度叩いて来た。 「まあ、涼のことは気にするな。お前のそんな嘘ぐらいで、臍を曲げるようなヤツじゃない。そうじゃなきゃ、こんなに何年も沙都に片思い出来るわけないだろ? 問題は青木だろ?」 涼のことは気にするな…… 達樹のその言葉はとても有り難いものだった。 声にならない声を上げて、大きく頷いた。 そうだ。 涼は……こんなことで、わたしを嫌いにならない。 ずっと、一緒にいたんだから、こんなことで涼はわたしを嫌いにならないけど、青木クンをこんな状態で突き離せない。
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