ご褒美はパンケーキ

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体育館の隅に座ってバスケ部の練習を眺める。 梅歌ちゃんや芦田先輩が忙しそうにしている。 そんな2人の横で髪の毛を指でくるくるしながら立ってるだけの女の子。 一年生の真壁(まかべ)宝愛(てぃあ)ちゃん。 確かに可愛い女の子なんだけど……。 パッと私を見て嫌そうに顔を歪める真壁さん。 うぅ……。 やっぱり嫌われてる……。 そりゃ部外者だし、真壁さんは京ちゃんが好きなんだし、私の事気に入ってるわけないけど。 そんなにあからさまに嫌な顔しなくても……。 「こっそり帰ろうかな……」 皆は地区大会に向けて猛練習中なんだ。 私が帰ったところで誰も気が付かない。 そう思って立ち上がった瞬間、後ろから抱き着かれた。 「っ!?」 「久しぶりの七海カワユス」 「芦田先輩!?」 振り返ると芦田先輩が私をジッと見つめていた。 美人で無表情だから、なんとも言えない美しさがある。 「あ、あの……っ」 「ねぇ七海。ちょっと手伝ってくれる?」 「え?でも……」 「あの子何もしないからさ。ずっと平瀬くん見てるだけだし。忙しいの分かってるのか不思議」 芦田先輩は私を引っ張って体育館を出た。 そして渡されるドリンクボトル。 「ドリンク作ろう」 「え?」 「私タオル取ってくるから」 「え?ええ?」 「あとちょっとで休憩だから、早目によろしく」 「芦田先輩……っ!」 芦田先輩は忙しそうに去って行く。 私は大量の空のドリンクボトルを見つめてため息をついた。 帰れなかった……。 諦めてドリンクを作成する。 本当ならこれ、真壁さんがしないといけないんじゃ……? .
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