イケメン幼馴染み

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私の幼馴染みはとてもカッコいい。 幼稚園の時から女の子に常に騒がれていて、バレンタインなんて持ち帰れないほど貰っている。 毎日のように告白されていて、毎日のようにお弁当とかプレゼントとか貰ってて……。 私がそんな彼を好きになるのに時間なんて掛からなかった。 顔がいいからじゃない。 もっと別の理由なんだけど……。 でも私は彼に近づけない。 どうしてって? 理由なんて簡単。 彼が迷惑するからだ。 だって私は彼とは対照的。 地味で目立たなくてとっても暗い。 そんな私が彼のそばに行けるとでも? そんな事したら彼に完全に嫌われてしまう。 そんなのは嫌だ。 私は見てるだけでいいの。 付き合うなんてそんなのとんでもない。 私には一生無縁の言葉だ。 いつものように制服に着替えてため息をつく。 今日も一日憂鬱な日が始まる。 一日中モヤモヤしたまま過ごさないと。 部屋から出たくなくてそのまま座り込む。 もういいか。 このまま休んでしまおうか。 そんな考えが浮かんだ瞬間、部屋の扉がバンッと開いた。 目を見開いて固まる。 「おい」 頭上から聞こえてきた声に顔を上げると、そこには幼馴染みが立っていた。 朝からカッコいいな、この人は。 その不機嫌そうな顔も好きなんて、私はMなんだろうか。 絶対そうだ。 「平瀬(ひらせ)くん……」 「……っ。またその言い方かよ……」 少し茶色い髪の毛をクシャっとするとため息をついた。 「七海(ななみ)。早く立てよ」 「嫌です……」 「七海」 そんな連続して名前を呼ばないでほしい。 私が名字で呼んでいるんだから、平瀬くんも名字で呼べばいいのに……。 平瀬京介(ひらせきょうすけ)。 それが彼の名前。 昔は『きょうちゃん』なんて恐れ多い呼び方をしていたものだ。 ・
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