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バスケ部がインターハイ出場を決めたあとの学校は凄かった。
皆が京ちゃんに対してねぎらいの言葉をかけていく。
そのどれもにめんどくさそうに返事をする京ちゃん。
「仲良くもないのに話しかけんなよ」
そう文句を言いながら溜息をつく。
ちょっと可哀想かも……。
「あの…、京ちゃん」
「何?」
「無視するのは良くない事かもしれないけど、しんどいならいいんじゃないかな…」
そう言うと意外だったのか京ちゃんが目を見開いた。
「ビックリした。七海からそんな提案されるとは思わなかった」
「わ、私だって出来れば無視しない方がいいとは思うけど、それで京ちゃんがしんどいなら無理しなくてもいいと思って…」
そう言って俯くと京ちゃんが笑顔で私の頭に手を置いた。
「ありがとな、七海」
真っ赤になって固まる。
京ちゃんの行動はいつも私には心臓に悪い。
そんなことを考えていると後ろから抱きつかれた。
「おはよう!七海!」
「っ!!梅歌ちゃん!」
振り返ると梅歌ちゃんと工藤くんがいた。
工藤くんはニコニコしながら私の手を取った。
「おはよう、『七海』。もう一人の俺の彼女」
「!?」
何を言われたか分からなくて一瞬息が出来なくなる。
理解した瞬間顔が熱くなる。
「な、何……っ!?」
「決勝来てくれなかったでしょ?寂しかったよ」
「工藤くん!?」
困っていると梅歌ちゃんが工藤くんの頭を叩いた。
「冗談はそこまで。七海困ってるから」
工藤くんはクスクス笑いながら私から手を離した。
「相変わらずいい反応するよね、加藤って」
「!?」
「慶人の事は放っておいていいからね、七海。それより聞いたよ。応援来てくれた日に怪我したって。大丈夫?」
「だ、大丈夫です!ご心配おかけして申し訳ございません!!」
頭を下げると梅歌ちゃんが笑いながら私の頭を上げた。
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