その男ジョージ

4/55
前へ
/267ページ
次へ
 私は窓に顔を近づけたまま、ただ何をするでもなくぼんやりとしていた。明日も学校があるというのに、私は眠ることが出来ないのだ。  この期間、私は必ず悪夢を見る。その悪夢に耐えられず毎回大量の汗で全身を濡らし目を覚ます。その悪夢は私の中で何よりも耐えがたい。  そんなものを見ると分かっているぐらいならと私はこの期間だけ睡眠を最小限に抑えることにしたのだ。しかしその期間も、今回は今日で終わりを迎える。だから辛くはなかった。  深夜の風がふわりと顔に当たり私の頭はよりいっそう冴えた。まだ眠る時間まで二時間もあるしと、私は部屋の中央に置かれた円形のガラステーブルの前に腰掛けた。  黄緑色のドーナツのようなクッションが私にピッタリとフィットする。これに座ると私は何故かよく集中することができるため、勉強の際もよく利用している。  テーブルの上には数枚のルーズリーフが並べられており、私はそれに書き込もうとペンをとるが、なかなかそれは進まなかった。いつものことである。   何も書かずにルーズリーフを睨み付け数秒が経過した時である。我が家のインターホンが鳴ったのは。  
/267ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加