その男ジョージ

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 眩く照った陽の光が屋上いっぱいに降り注ぐ。それらは屋上の床面に触れるよりも先に、空へと跳ね返っていく。屋上に無数に張られたソーラーパネルである。  一つ一つが私なんかよりも大きいソーラーパネルのせいで、スペースの無くなったこの屋上にとても圧迫したものを感じてしまう。全校生徒が誰一人としてやってこないのはそのせいだろう。  しかし私は、この無数の光の線が美しく鏡面反射する様を間近で見ると、とても神秘的な気分になる。このままソーラーパネルの上に立ち光を浴びると、そのまま反射した光に呑み込まれて空へと進んでいける気さえしてしまう。  そうすれば私もあちら側へと行けるのだろうか? 決して許されない思考を押さえつけ、私は扉の壁沿いに背を預けた。センチな気分も、今の空腹には勝てなかったようである。  私は横に置いたスクールバッグを探り、お目当ての物を探し始めたのだが……おかしい。 「ないわ……嘘でしょ」  大して大きくもないバッグの中で、ある筈の物が見当たらない。どれだけ必死に探しても見つからない事に苛立った私は、思わずバッグを逆さに持ち上げ中身をさらけ出した。  バサバサと落ちてくる物はペンケースや化粧ポーチ、帰りの電車で読むための文庫本や水筒しか出てこない。  私は青ざめた顔で冷静に今日の出来事を振り返った。するとお目当ての物が入っていない理由はすぐに判明した。  しくしくと泣くジョージに、私はお弁当を譲ってしまっていた事をすっかりとわすれていたのである。バッグが妙に軽かった原因はこのせいだったのか。
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