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いつもならなにかと理由をつけてさっさと帰るところであるが、お弁当を貰った手前、私は無下に愛指さんの誘いを断ることは出来なかった。
「はぁ……帰りましょうか、愛指さん」
キラキラと光る眼差しがチクチク刺さる。そんな目で見るのは止めてほしいものだ。
学校を出て通学路を歩く私たちは特に喋ることはなかった。身長差があるため、私が普通に歩いても愛指さんは少し急ぎ目であるようだった。
愛指さんを気にしつつ歩いていると彼女はようやくその重く閉ざした軽い口を開いたのだった。
「稔子ちゃんって背が大きいよね。私なんかついていくだけで精一杯だ」
言った愛指さんは依然急ぎ足であるため、少しばかり言葉が途切れていた。流石に不憫であるため、私は足の回転を少しばかり緩やかにすることにした。
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