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「私の身長が高い自覚はあるけど、どちらかと言うと愛指さんが小さすぎるだけと思うわよ」
「えへへ、やっぱりそうなのかなぁ。私って身長が140㎝しかないんだよね。あーあ、私も稔子ちゃんみたいに大きくなりたいなぁ」
なんと。小さいとは思っていたが私とおよそ20㎝も差があるとは。ちょうど頭一つ分はひらいているからその数値は妥当なのかもしれない。
速度を緩めたおかげなのか、愛指さんの言葉に途切れはなくなっていた。
「私はもう少し小さくてよかったわ。身長か高いと何かと不便よ」
「例えば?」と愛指さんが聞くので、私は記憶を探りなんの自慢にもならない不便エピソードを披露した。
「そうね、電車の定期券を買うのに高校生だと信じてもらえなくて、危うく割引なしで購入させられそうになったわ」
私は入学式で貰ったばかりの学生証を提示していたにも関わらず、駅員は顔を見るなり「偽装してない?」と心外にも程がある発言をしたのだった。思い出したら少し腹が立ってきたわ。
「それは災難だったね。でもそれは身長だけじゃないと思うよ? ほら、稔子ちゃんとっても大人っぽいし」
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