危険な運び物

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危険な運び物

身軽な駿はたった1つ所持しているズタ袋から小包を取り出すと放り投げた。 小包はたちまち宅配車に変身した。 これが宇宙でも異次元でもどんな空間にでも行けるデリバリーエクスプレスである。特殊合金でできたコンテナや車体はどんな環境下にも耐えることができる。 巨大な兵器であるスレイブレーザーは不思議と吸い込まれるようにデリバリーエクスプレスのコンテナに収容された。 「きっちり届けてやるから安心しろ」と言い放つと駿は宅配車に乗り込み、あっという間に宇宙空間へ飛び立って行った。宅配車を見送りながらジンは不敵に笑う。 届け先の宇宙帝国の根城はマグマが煮えたぎったような小衛星である。 さすがに生身ではキツイので駿はポストアーマー(クロネキャリー)を装着した。 さすがに宇宙帝国の本拠地だけあって大勢の怪人たちがいるが、ポストは怪人には目もくれずに首領と対峙する。 「これはまさにスレイブレーザー。地球侵略作戦も秒読み段階に入ったというワケだ」 首領の言葉に怪人たちは士気高揚する。 「荷物は確かに届けた。これで失礼する」 首領が荷物を確認したのを見届けるとさっさと立ち去ろうてしるポスト。 「待ちな」 首領はポストの首に巨大な剣を突き付ける。 「この兵器は大した代物だが法外な金額を払わされた。ヤツらにとっても我が帝国にとっても秘密を知られたテメェは邪魔だ。テメェを始末して運び賃をブン取れば、それがこの取引のリベートなんだとよ。ヤバイ仕事に手ぇ出したのが運の尽きだったな、運び屋よぉ」 首に巨大な剣を突き付けられて大勢の怪人に囲まれているこの状況でもポストは平然としている。仮面からは表情が分からないが中には涼しい顔をした駿がいる。 「つまらないね~。悪の組織ってのはどうして教科書にでま書いてあるようにお決まりのパターンなんだろうね~」 面倒くさそうに突き付けられた巨大な剣を払いのけるポスト。 怪人たちはポストに襲いかかるが、先頭の数体が腕から伸びたアームクローの餌食になる。 「言っておくがブツを届けた時点で仕事終了だ。もはやお前たちは取引相手でも何でもない。手加減はしないぜ」 ポストは素早い動きでさらに数体の怪人を倒す。 「威勢がいいのもそこまでだな。たった一人で我が帝国を相手にするとは愚かだな、運び屋」
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