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「……もうまるで彼女じゃん。」
隣で何故か頬をピンク色に染めた陽翔が、そうつぶやく。
……自分でもそう思ってしまったことは、秘密にしておこう。
部屋の中は、玉ねぎのいいにおいが漂っていた。
「俺のもお願いできない?」
靴を脱ぎ、部屋に入ると、それに続いて中に進んだ陽翔が、ニコニコと爽やかに笑いながら、椎名咲笑にそう話しかけた。
「え、あ、……」
突然のことに彼女は戸惑いながらも、調理台の上の材料をちらりと確認し、すぐに笑顔を浮かべた。
「大丈夫ですよ。」
「やったね!」
陽翔はとても嬉しそうに笑い、慣れた様子で俺のベッドに座った。
「名前は?なんていうの?」
「椎名咲笑です。」
「へえー、咲笑ちゃんかー。」
おいてけぼりにされた俺は、硝子テーブルに頬杖をつきながら、テレビの電源をいれた。
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