第1章

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 やがて冴木先輩が席を立ち、トイレに向かうと、運ばれて来た梅酒ソーダを箸でかき混ぜながら、陽翔が口を開いた。 「ミツキはさ、言葉とか以前に、態度とかでもわかりにくいんじゃね?」 「……俺、わかりにくい?」 「だって俺も最初、嫌われてると思ってたもん、つーかドS?」 俺はそう言われて他人への自分の態度を思い返してみると、確かに結構冷たいかもしれない。 陽翔は俺のそんな様子を見つめながら、箸を抜き、梅酒ソーダを一口飲むと、にっ、と笑った。 「まあそれが愛情だって途中でわかったから、俺は大丈夫なんだけど。」 「……勘違いだろ。」 照れくさくなって顔を逸らすと、陽翔はくすくすと笑った。 「ほら、照れたら顔逸らすだろ。俺はそれわかってるけど、他人からしたら冷たく映るんだって。」 この時俺は、意外と真面目に見てくれている陽翔を少し見直した。 「にしてももったいねぇなー。菜乃花ちゃん。なんでミツキなんだよ、俺の方が優しくすんのにー。」 ……それと同時に、こいつに彼女を紹介したりしたら、えらいことになるんじゃないかと、少し警戒しようと心に決めた。
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