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すっかり酔いが回り、頭がくらくらしてきたので、俺は少し風に当たろうと、店の外に出た。
冴木先輩は酔うと面倒くさくなるので、それから逃げようと思ったのもあるけれど。
大きく伸びをしていると、すぐ隣の横断歩道の先に、見覚えのある姿を見つけた。
「……菜乃花?」
思わず声に出したが、届くはずもない。
それに、菜乃花の隣には、知らない男がいた。
信号が青に切り替わり、動き出したふたりに、我に返って、慌てて俺は店に戻った。
「あ、ミツキ。何か頼む?」
俺が戻ると、丁度陽翔がテーブルのベルを押した所だったらしく、伝票を持った店員が側に立っていた。
冴木先輩は、テーブルに突っ伏せて、ぐうぐうと眠っている。
「……生ビール。」
俺はさっきの現実が受け止められず、お酒に逃げることにした。
「……女って、よくわかんね。」
俺のつぶやきに、陽翔は首を傾げていた。
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