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そんな時、居酒屋に置いてあった小さなテレビから、台風が2日後に迫っているというニュースが流れていた。
ぼんやりとそれを眺めながら、次々とビールを頼み、苦い顔をしながら飲み続ける俺を、陽翔は苦笑しながら止めた。
「……そろそろやめろって。顔真っ赤だぞ。どうしたんだよいきなり。」
……それ以上先のことを、俺はもうよく覚えていない。
――
気が付いた時には、見慣れた真っ白い天井があって、俺は自宅のベッドの上に居た。
今日は天気が悪いのだろうか、窓のカーテンの上から洩れる光は、いつもより薄暗い。
昨日の陽翔の困った顔を見て以来のことを、よく思い出せない。
……記憶が飛ぶほど飲むことは、ほとんどなかったんだけれど。
ちゃんと自分の家に居たことにほっとしながら、水を飲もうと、重たい体を起こした。
……あれ、今、なんか見えたような。
視界の左側に人影が見えた気がして、思わず俺は目をこすった。
1人暮らしのこの家に、人なんか居るはずがない。
……やっぱり、見える。
俺は恐る恐る、左に目を向けた。
「……おはようございます。」
目が合ったセーラー服を来た少女は、正座をして、おずおずと、遠慮がちに挨拶をした。
「……誰。」
思わず飛び出した言葉は、これだった。
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