第1章

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 そんな時、居酒屋に置いてあった小さなテレビから、台風が2日後に迫っているというニュースが流れていた。 ぼんやりとそれを眺めながら、次々とビールを頼み、苦い顔をしながら飲み続ける俺を、陽翔は苦笑しながら止めた。 「……そろそろやめろって。顔真っ赤だぞ。どうしたんだよいきなり。」 ……それ以上先のことを、俺はもうよく覚えていない。 ――  気が付いた時には、見慣れた真っ白い天井があって、俺は自宅のベッドの上に居た。 今日は天気が悪いのだろうか、窓のカーテンの上から洩れる光は、いつもより薄暗い。 昨日の陽翔の困った顔を見て以来のことを、よく思い出せない。 ……記憶が飛ぶほど飲むことは、ほとんどなかったんだけれど。 ちゃんと自分の家に居たことにほっとしながら、水を飲もうと、重たい体を起こした。 ……あれ、今、なんか見えたような。 視界の左側に人影が見えた気がして、思わず俺は目をこすった。 1人暮らしのこの家に、人なんか居るはずがない。 ……やっぱり、見える。 俺は恐る恐る、左に目を向けた。 「……おはようございます。」 目が合ったセーラー服を来た少女は、正座をして、おずおずと、遠慮がちに挨拶をした。 「……誰。」 思わず飛び出した言葉は、これだった。
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