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「……え、居候って。」
俺はキッチンの引き出しを漁りながら、頭痛薬を探し、引っかかったことをそのまま口にする。
「……昨日、ミツキさんがおっしゃったんですよ。まさか、覚えてませんか?」
……ミツキさん。
と、いうか、俺が言い出した?
俺は頭の中がこんがらがり、昨日のことを思い出そうと記憶を探ったが、頭が痛くて働かない。
……俺が言い出したのに、出ていってくれなんて、最低かな。
結局頭痛薬は見つからず、引き出しを閉じ、彼女に目を向けた。
彼女の瞳は、涙目になっていた。
「……あの、迷惑なのはわかっているんですけれど……。わたし、バイトだってして家賃は半分払いますし、ご飯だって作ります!なんとかお願い出来ませんか?」
その時、外から雨音が聞こえ、カーテンを開くと、真っ黒な雲に覆われた空から、滝のような雨が降り出していた。
昨日、居酒屋で見た台風のニュースを思い出す。
9月の今は、台風が頻繁に訪れていた。
こんな天気の日に、出ていけなんて拷問だ。
彼女の瞳は、今も尚、不安げに俺に向けられている。
そんな表情されたら、……俺も悪魔ではないし、断れない。
「……何歳?」
「?高3です。」
高3……。俺、捕まるんじゃないの。
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