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「おーい、ミツキ!起きてるかー!」
突然、玄関の扉が開き、陽翔の声が聞こえてきた。
俺は慌てて玄関からは死角になるキッチンの方へ、戸惑う椎名咲笑を押し込んだ。
「……なんだよ陽翔、勝手に入ってくんな。」
戸惑いを隠すため、無表情を作る。
「だって鍵開いてんだもん。」
何も知らない陽翔は、さっさと靴を脱ぎ、部屋に入ってきた。
「ちょっと待って、入ってくんなって。」
俺は陽翔が居る廊下まで走って陽翔を止める。
「は?なんで?今更なんも気になんねーって。マニアックなエロ本があろうが。」
陽翔はにかっ、と眩しい笑顔を見せて、親指を突き立てた。
……そんなもの、ある訳がないだろう。
「……そんなんじゃないけど。」
「じゃあいいじゃん。」
俺を押しどけて、前に進んだ陽翔の服を、後ろからもの凄い力で引っ張る。
陽翔は顔だけ振り返って、訝しげな視線で俺を見つめた。
「……やっぱりあるんだろ。」
「は?」
「もの凄いやつが!」
ありえない速さで俺の腕から強引に逃れ、陽翔は部屋の中に進んで行った。
……俺もう、知らない。
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