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顔を片手で覆い隠して、首がおっこちそうなくらいに項垂れる。
そんな俺の元に、顔を真っ青に染めた陽翔が、さっきと同じようにもの凄い速さで戻って来た。
「え、……ちょ、え。ミツキ逮捕?」
「……だから止めたんだよ。」
俺は盛大なため息をつく。
「……手は、出してないらしいけど、朝起きたら居た。」
陽翔はポカンとした顔で俺を見つめ、声を潜めて話し始めた。
「なにやってんのお前。ていうかあの子の親、お怒りなんじゃないの?」
俺も同じように、声のボリュームを下げる。
「なんか家出したっぽいんだよ。居候させてくれって言ってたし。」
「でも早く帰してあげた方がいいって!」
そんな時、椎名咲笑がひょこっと顔を出した。
「……あの、」
俺の方を向いていた陽翔がその声にびくっ、と肩を揺らし、身を固める。
「わたし、そろそろ学校なんで、……行ってきます。」
その言葉に、陽翔は振り返り、俺はまっすぐ見た先にある時計を見上げる。
「あ、……俺たちもだ、ね、ミツキ。」
「……うん。」
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