第2章

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*** 「朝賀(あさか)!」 昼休み。食堂できつねうどんの乗ったお盆を手に、陽翔と一緒に行動していると、誰かに名前を呼ばれた。 キョロキョロと辺りを見回し、その正体を探る。 「お、美桜じゃん。」 隣に居た陽翔と同じ方向に視線を向けると、一ノ瀬 美桜(いちのせ みお)が腰に手を当てて、こちらに早歩きで向かって来ていた。 「……一ノ瀬。」 一ノ瀬はカーブのきつい眉を更に吊り上げて、少し分厚い唇は、への字に曲がっていた。 嫌な予感がして、お盆をすぐそばにあったテーブルに置くと、一ノ瀬は俺の胸ぐらを掴んできた。 「菜乃花に何したのよ!!」 「美桜、ちょっと落ち着け。」 陽翔は慌てて一ノ瀬を俺から引き剥がそうとする。 「だっていきなり呼び出されたかと思ったら、大泣きしてたのよ!変な男と付き合い始めたりもして!」 一ノ瀬は俺の服を掴む手を一層強め、早口で陽翔にそう吐いた。 切れ長の瞳が、まっすぐと俺を捉え、睨みつける。 一ノ瀬は菜乃花の親友で、菜乃花とは一ノ瀬繋がりで、知り合った。 ……陽翔が菜乃花と別れたことを知っていたのも、多分情報源はこいつだな。
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