第2章

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「……一ノ瀬。」 俺は一ノ瀬の手首を掴み、無理矢理引き離す。 「……確かに、俺が悪いよ。でも、戻れない。菜乃花には謝っといて。あと、変な男と付き合うなとも言っといて。じゃ。」 「そんなんで許せる訳ないじゃない!」 「まあまあまあ、あれでもミツキも傷ついてんだって!」 怒りの収まらない一ノ瀬の怒声と、陽翔の諭すような言葉。 俺は少しふたりに申し訳ないと思いながらも、お盆を手に、そこを離れた。 あの状態の一ノ瀬には多分、何を言っても効かない。 それにしても、菜乃花のこの前のあれは、俺への当て付けのような物か……。 恐らく菜乃花は、一ノ瀬が今のように俺に情報を洩らすのを想定していたのだろう。 正直菜乃花とは、もう戻る気はない。 きっとまた、傷つけるだけだから。
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