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すっかり伸びきったうどんを、陽翔と向かい合って、お互い無言で啜る。
先程、食堂で揉める俺たちは、周りの人達の注目の的になっていた。
眉をひそめて迷惑そうな顔をする人もいれば、好奇の視線で俺を見つめる人もいた。
「ほんと、美桜はああなるとなかなか止まんないから困る。」
うどんを完食した陽翔は、ため息まじりにそうつぶやいた。
陽翔と一ノ瀬は幼なじみらしく、ああなった一ノ瀬を止めるのは、いつも陽翔の役目だった。
「……ごめん。俺のせいで。」
俺は俯いたままそう言い、さっさと空っぽになった器を返却口まで持っていった。
「ミツキ。」
すぐに追いかけて来た陽翔が、俺と同じように食器を置くと、背を向けたまま言った。
「美桜はああやって、片方の気持ちしか考えずに怒ること、ありすぎるくらいあるけど、全部大事な人のためなんだよ。許してやってな。」
「……わかってるよ。はやく行かないと授業遅れるぞ。」
「ん。ありがとミツキ。」
隣に来た陽翔の顔を見れば、とても嬉しそうに微笑んでいた。
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