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「……なんで付いてくんだよ。」
「俺もオムライスご馳走になろうと思って。」
「お前の分なんかないよ。」
放課後。家に帰ろうとすると、ニヤニヤと不気味な微笑みを浮かべた陽翔がくっついてきた。
俺は顔を顰め、暑苦しい、と陽翔を引っ剥がす。
「にしてもあの子。可愛かったな~。」
すると陽翔はうっとりとしながら、恨めしい、といったような瞳を俺に向けてきた。
「菜乃花ちゃんといい、あの子といい、なんでミツキなんだよ。」
「知るかよ。」
第一あの家出少女は、どういう流れで家に入ったのかもわからない。
俺が言い出したらしいけど、全く記憶はないし。
「あーあ、俺も可愛い彼女が欲しいな。」
俺はそんな陽翔を無視して、到着した自宅に入った。
気が付いた陽翔は、慌てて俺の跡を付いてくる。
「あ、おかえりなさい、ミツキさん。」
扉の音に反応した椎名咲笑が、フライ返し片手に、見覚えのないエプロン姿でキッチンから顔を出した。
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