第1章

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 大学の掲示板の前で、提出物の確認と、メモをしていると、不意に頭を触られた。 「寝癖ついてる。」 後ろから伸びた手を辿り、人物の正体を明かそうと、ちらりと見ると、そこに居たのは朝日奈 陽翔(あさひな はると)だった。 「……今日遅刻、しそうだったから。」 視線を戻し、さらさらと手を動かしながら俺が答えると、ぶっ、と吹き出すような音が聞こえた。 「またフラれたんだって?」 掲示板の内容を全て写し終えたメモ帳を閉じながら、陽翔に不機嫌な顔を向けると、陽翔は更におかしそうに笑った。 「……お前いつも情報はやいな。」 「俺はなんでも知ってんの。」 俺が盛大なため息をつくと、陽翔は得意げな顔をした。 「と、いうわけで、明日なんかどうですか。」 「……仕方ないな。」 陽翔のこの言葉は、いつも飲みに行きませんか、という誘いだ。 あまりお酒に強くない俺はほとんど断っていたが、今は少し、飲みたい気分だった。 「やっぱり傷を癒すには、お酒でしょ。」 とても嬉しそうに肩を組んできた陽翔に、俺は呆れながらも、睨みを効かせた。
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