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大学の掲示板の前で、提出物の確認と、メモをしていると、不意に頭を触られた。
「寝癖ついてる。」
後ろから伸びた手を辿り、人物の正体を明かそうと、ちらりと見ると、そこに居たのは朝日奈 陽翔(あさひな はると)だった。
「……今日遅刻、しそうだったから。」
視線を戻し、さらさらと手を動かしながら俺が答えると、ぶっ、と吹き出すような音が聞こえた。
「またフラれたんだって?」
掲示板の内容を全て写し終えたメモ帳を閉じながら、陽翔に不機嫌な顔を向けると、陽翔は更におかしそうに笑った。
「……お前いつも情報はやいな。」
「俺はなんでも知ってんの。」
俺が盛大なため息をつくと、陽翔は得意げな顔をした。
「と、いうわけで、明日なんかどうですか。」
「……仕方ないな。」
陽翔のこの言葉は、いつも飲みに行きませんか、という誘いだ。
あまりお酒に強くない俺はほとんど断っていたが、今は少し、飲みたい気分だった。
「やっぱり傷を癒すには、お酒でしょ。」
とても嬉しそうに肩を組んできた陽翔に、俺は呆れながらも、睨みを効かせた。
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