第1章

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「……あ。」 俺は家に帰ってから、食料品を買ってくるのを忘れていた事を思い出し、思わず声をあげた。 ……いつも、帰ったら菜乃花が準備をしていたから。 そう自分で考え、少し落ち込む。 今朝も、いつも菜乃花が起こしてくれていたせいで、目覚まし時計を設定するのをすっかり忘れていた。 もともと朝が弱いのもあって、目を覚ましたのは家を出なければならない10分前だった。 ……そのせいで、寝癖がついたままだったんだけど、1日中気になって仕方なかった。 ひとりでひっそりとため息をつき、財布を手に、もう一度スニーカーに足を突っ込む。 これは相当重症だ。 はやく、この生活に慣れなければ。 そう気を引き締め、曲がっていた背筋をぴんと伸ばした。
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