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「やっぱり、俺的にあのお店のおしるこは絶品だと思うんだ。」
ポート・フォリオ中央ブロック。住宅街が並ぶ場所でジゼルは真顔で言い放った。
「ソレ本気で言ってんのか?つか、アシュレイはどうした。」
ルースは呆れ気味に聞いた。ジゼルは至って冷静に答えた。
「本気だよ。アシュレイはおしるこ買いに行かせた。」
「オマエ、バカじゃねーのか!?今は仕事の真っ最中だろーが!」
暗くなり始めた住宅街にルースの叫び声が響く。今彼らは護衛の仕事の最中である。少なくとも気は張っていた、おしるこの件を話すまでは。
「バカじゃないし。だって、ルースだってアシュレイパシるじゃん。いつもの事じゃん。」
「ソレとコレとは違うだろーが!時と場所考えろって言ってんだよ!!」
「あ、あの…大丈夫ですか?何かあったのですか?」
ルースの声が気になったのか、前の一軒屋から女性が出てきた。今回の護衛の依頼者であるエリーザ本人だ。
「いや、心配ねぇ。オマエは危ねーから家に入ってろ。」
「すみません、でもまたあの不審者が来るのかと心配で心配で…。」
エリーザはこの頃家に不審者が家に侵入してくるという恐怖から護衛の依頼をギルドに申し込んだ。その不審者は夜近くになって来ると言うので日が暮れる頃から1人と1匹は家の前で待機していた。
「大丈夫ですよエリーザさん。不審者の1人や2人いや100人、このルースが退治しますからー。」
「オレがかよ!?」
笑顔でジゼルが話すのでエリーザは自然と安心感を覚えた。
「では、よろしくお願いしますね。」
「はーい。」
エリーザが家の玄関に入った所で、誰かがこちらに走ってくる音がした。ジゼルは振り返って、満面の笑みを浮かべた。
「買ってきてくれたんだ、おしるこ。ありがとう、アシュレイ。」
「はい、ジゼル様!わたくしはジゼル様の為なら何でも致します!」
姿勢を整えたアシュレイは湯気のたつおしるこの入った器のうち1つと箸をジゼルに渡した。早速、ジゼルはおしるこに浸かった餅を箸で摘まみ出しかぶりついた。
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