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「ルース様もいかがですか?」
「オマエが食え、アシュレイ。オレは見張りを続ける。」
「ううっ、ルース様今日もクールでカッコいいです…!」
「意味分かんねー事言うな。おしるこ冷めねーうちにさっさと食っとけよ。いつ不審者が来ても準備できるようにな。」
ルースは隣から届く甘いニオイを無視して周囲に目をやる。すでに日も落ちて、家やアパートの外の明かりがつく。特に気になるニオイもなくひとまずは落ち着く。
「はふはふ…。やっぱりこのおしるこが一番だよね。」
「美味しいです。」
二人は幸せそうに笑いつつおしるこを豪快に音をたてて啜る。呆れるルースの鼻が動く。匂いを捉えた証拠だ。
「この匂いは…人か?」
ルースが先の通りの角を見た。アシュレイは興味津々そうに同じ方向に目を向ける。ジゼルの眼中にはおしるこしかない。角を曲がって出てきたのは一人の男だった。スーツ姿の一般人が二人と一匹に気づいて声をかける。
「君たち!まさかこの家に来るっていう不審者じゃないのかね!?」
「違いますよ!わたくしたちはお仕事でこの家のエリーザさんを護衛しているんです!」
アシュレイが不満そうに答えると、男は一瞬驚いた表情を浮かべた。
「そうだったのか。まぁ、僕から見たらお仕事ごっこだけどね。僕はそんな事に付き合っている暇はないから。」
「ちょっと!お仕事ごっこって…「待て。」
皮肉を言って去ろうとする男の前にルースが立ちふさがる。言い返そうと口を開いていたアシュレイはそのままの体勢で止まる。
「い、犬が喋った…!」
男の反応に答えずルースは男を見上げる。その間もジゼルがおしるこをすする音が耳に入る。
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