ヒーローはおねえさん

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「誰?」  きらりにとっては初見なのでわからなかった。  女の子は黒いツインテールをふり乱し、両手で拳銃を構えている。  右手は銀色に輝き、手首に照準器が直接ついている。拳銃ともどもメイド服に合わない小物だ。 「殿下って、この人のこと?」  きらりは、自分をかついでいる男を指した。  返事の代わりに銃声がこだました。 「あぅっ!?」  きらりは悲鳴を上げた。  激痛、という2文字だけで表せない。  右手が燃え上がるように痛い。  女の子は青白い顔できらりを黙って見ている。  殿下と呼ばれた男がようやく女の子の方を向いた。 「ユリアナ・ベルナイン」  殿下が静かに口を開く。 「は、はい!」  ユリアナと呼ばれた女の子はびくっと体をこわばらせた。  青白い肌がさらに青くなる。  きらりには成り行きを見る余裕はなかった。  撃ち抜かれた右手を押さえ、唇をかんだ。
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