ヒーローはおねえさん

11/13
前へ
/39ページ
次へ
「お前は主人に銃を向けるのか」  殿下の赤い目が冷たくユリアナを見下ろす。  銃弾はかすりもしなかったようだ。  ユリアナはふるえながら銃を下ろした。 「も、もうしわけございましぇん、殿下。ユリアナをきらいにならないでほしいのでち」  ユリアナは今にも泣きそうな顔で殿下を見上げた。  赤い目にうっすら涙がたまっている。 「興をそがれた。オレ様は帰る」  殿下は「ふん」と鼻で笑い、そっぽを向いた。そして歩きだす。 「待った! 殿下とやら、天野っちを放しなさい!!」  チョウセンジャーがするどく指摘した。  殿下の足が止まる。  きらりもはっと顔を上げた。  きらりを「天野っち」と呼ぶ人は限られている。  その人が誰だったか、今のきらりには思い出す余裕がない。 「ヨハン中将、この女にDEMS(デムス)をつけてやれ」  殿下はスーツ姿の男に命令した。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加