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「お前は主人に銃を向けるのか」
殿下の赤い目が冷たくユリアナを見下ろす。
銃弾はかすりもしなかったようだ。
ユリアナはふるえながら銃を下ろした。
「も、もうしわけございましぇん、殿下。ユリアナをきらいにならないでほしいのでち」
ユリアナは今にも泣きそうな顔で殿下を見上げた。
赤い目にうっすら涙がたまっている。
「興をそがれた。オレ様は帰る」
殿下は「ふん」と鼻で笑い、そっぽを向いた。そして歩きだす。
「待った! 殿下とやら、天野っちを放しなさい!!」
チョウセンジャーがするどく指摘した。
殿下の足が止まる。
きらりもはっと顔を上げた。
きらりを「天野っち」と呼ぶ人は限られている。
その人が誰だったか、今のきらりには思い出す余裕がない。
「ヨハン中将、この女にDEMS(デムス)をつけてやれ」
殿下はスーツ姿の男に命令した。
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