ヒーローはおねえさん

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 あたたかい日差しが街を見下ろしていた。  ショッピングモールのイベント広場がにぎわっている。  客席には、ヒーローのお面をつけた子どもたちがいた。親とおぼしき大人たちも一緒に座っていた。  客席のいちばん後ろにはヒーローのお面をつけた女子学生が立っていた。  女子学生の名前は天野きらり。 「『錬磨戦士チョウセンジャー』だって。素直に『チャレンジャー』って言えばいいのに」  きらりはステージ上の横断幕のタイトルを読み上げた。それから人懐こそうな黒い目を横に向ける。 「大人の事情っすよ、天野さん」  隣にいた男子学生がきらりに声をかけた。
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