ヒーローはおねえさん

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「きゃっ!」  不意にきらりの体が重力を失う。 「よし、こいつを連れて帰る」  誰かがきらりを肩にかつぎ上げていた。  きらりは身をよじってなんとか犯人を見ようとした。  サラサラの黒い髪。髪から見え隠れするうなじは薄い青色をしている。  黒っぽいジャケットを着ているせいか、若干おとなしい印象を受ける。  なのに力は強く、きらりがもがいても、びくともしない。 「ちょっと待ったー!」  チョウセンジャーがすべるように走ってくる。 「ショーに便乗して悪役ごっこのつもりかい? でも、その行為は犯罪だよ!」  チョウセンジャーは男に向かって指をさした。 「騒がしい奴だ」  男は赤い目でチョウセンジャーをにらみつけた。  チョウセンジャーは静かにたたずんでいる。  真紅の仮面に隠れて表情はわからない。だが、ひるんではいないようだ。
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