ヒーローはおねえさん

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「さあ、そのお嬢さんを放しなさい!」  チョウセンジャーが男に一歩近づく。 「そ、そうだ! あ、天野さんを放してもらうっすよ」  倉科も一歩前に出た。  倉科の両足がガクガクふるえている。 「無理をするな、少年。君は落ち着いて通報してくれ」  チョウセンジャーは倉科の肩に静かに手を置いた。  しかしその瞬間、倉科は「ワー」とも「ウオー」ともつかない奇声を発して駆け出した。  わずか数歩の距離。かけっこするには距離が短すぎる。  男はきらりをかついだまま、しなやかに上半身をねじった。  目標を失った倉科は勢いよく地面にダイブしてしまった。 「おお、うわさに聞くスライディング土下座というモノだな」  男は感心してうなずいた。 「違うよ。そもそも土下座になってない」  きらりはなんとか首をまわして倉科の方を見た。
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