ヒーローはおねえさん

9/13
前へ
/39ページ
次へ
 倉科はぴくぴくけいれんしていて、すぐには起き上がれないようだ。  きらりの視界の端に舞台が映る。  舞台の方から誰かが2人走ってきた。 「殿下! また勝手に何か持ち帰るつもりですか。しかも人間を!」  うち1人の男が目をつり上げて言った。  中肉中背でスーツ姿。短い黒髪が乱れ、顔が青ざめている。 「あ、司会者」  きらりはつぶやいた。 「それに、我々がいるのがわかっていてBR光線の照射実験を行いましたね?」  もう1人の男も目をつり上げている。  こちらは司会者とは対照的に大柄。首から下はトゲトゲの鎧を着ている。暑いのだろう。顔が汗だくだ。髪も汗で黒光りしている。 「えーと、タイダー将軍役の人」  きらりはなんとか思い出した。 「殿下にさわらないでほしいのでち!」  さらに、2人の男の陰から小さな女の子が飛び出してきた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加