I Want To See Unkown Wold

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 ある日、少年は尋ねた。  二人以外はいないのかと。親や兄弟、仲間すらいないのかと。  二人は当然と答える。初めから誰もいないと。それの何がおかしいのか、二人には解らなかった。  少年はおかしいと言う。親がいないの変だ。どこから生まれたのかと問うても、二人は答えられない。  新しい世界には、新しい常識。今までとは違うのだと、見せつけられた。二人はお互いを見つめ合う。  自分と似ている境遇。自分と近い常識。孤独を埋めるように、二人は愛を育む。  少年の好奇心は薄れ、敵意が心に宿る。察した天使は離れる。人魚を連れて島を去る。  人魚は無邪気に笑う。空の世界が見たいと。天使はつまらないと言うが、人魚は楽しそうと言う。  天使は人魚を抱え、空へと上昇する。海から離れる人魚は風が気持ち良いと笑う。  人魚は新しい世界を見る。空という新しい世界。吹き付ける風は人魚には新鮮だった。
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