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テーブルを舞台に、吟遊詩人は外套を翻して踊る。手拍子を送る女達と、指笛を吹く無骨者達。その中にやっかみを持つ者が増えてきていることに、吟遊詩人は気づいていた。
得意のステップを踏み、軽やかにテーブルから降りると、やっかむ者の拳が飛んできた。しかし、吟遊詩人はそれも振り付けの一つであるように、実に自然に躱した。
仕切り直しと動きを止め、不穏な空気を宥めると、手拍子を求めた。
今までと違うリズムに、吟遊詩人の表情が引き締まった瞬間。やっかむ者が宙に浮き、床に倒れた。
踊りながら攻撃されると思っていなかったやっかむ者は、続いた回し蹴りに再び倒れ、顔の両脇で踏まれる激しいステップに観念した。
「これにて、一章終了。続きが見たいと仰る方がおいでならば、踊りましょう」
恭しく一礼した吟遊詩人にやっかむ者と、からかい半分に無骨者達が襲いかかる。吟遊詩人は躱しながら手拍子を求めて舞ってみせた。
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